マグカップ

■いつかの日記

窓辺から漏れる明かりに誘われて
どこからか部屋に迷い混んだ蛾が
マグカップを目指して飛び込んだ
飲みかけの珈琲に羽を捕らわれて
頼りない四肢で音もなく宙を掻き
天井を映した暗く冷たい器の裡で
少しずつ静かに命を小さく終えた