2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

駐車場

■お話いつもなにげなく通り過ぎる駐車場にある日なにげなく目を向けたするとまだ新しいコンクリートの車止めにすらっと長い尻尾が生えていた気持ちよさそうに朝の淡い光を浴びてパタパタと気ままな拍子をとっていたまたある日のことなにげなく目を向けると尻…

窓が雨に濡れている

■2016/7/1の日記「誰もいないはずの家に電話をかけたら、誰かが受話器を取ったんです。だから急いで家の見回りをしてください」満員電車の中で中年の女性が必死に、携帯電話の向こうにいる相手に訴えかける。彼女はなぜ誰もいない家に電話をかけたのだろう?誰…

空はまだ明るい

■2016/6/30の日記小さな神社の鳥居の下で二人の高校生が立ち尽くす男の子は目をそわそわさせて不器用にシャツを持て余し腕を何度も組み替える女の子はじっと静かに俯いて肩まである髪で顔を隠し忍耐強く過ぎ去る時間を拒むその横を缶ビール片手にエイフェッ…

朝を迎える

■夢と記憶の話居間の長椅子に仰向けに横たわる父の左足から、石油が染み出していた。それは少しずつ踵の先から滴り落ちて、床に広がり、隣り合った台所を抜け、子供部屋に流れ着く頃には、向こう岸が見えないほどの青黒くぬらぬらとテカった川となっていた。…